脱炭素特別委員会の行政視察

　どこも地域事情やご当地ならではのアイデアで脱炭素を進めているワケですが、他都市の事例から応用できるものはとことん取り入れていこう、という気持ちで視察に挑みました。

【愛知県岡崎市】どうする脱炭素？岡崎城下からはじまる省エネ・創エネ・蓄エネ・調エネのまちづくり（https://www.city.okazaki.lg.jp/1550/1564/3512/p037111.html：2024.2.2確認）

　自治会の加入率が高い特性を生かし（驚きの住民約9割が自治会に加盟！宇都宮市は6割）、中心市街地において太陽光・蓄電池の導入を進めている。「脱炭素」のワードが難解で響きにくいことから現在の燃料代（エネルギー）高騰に関する話題を皮切りに住民へ働きかけを行っており、課題意識の共有が図りやすい。また大手自動車メーカーからの回収バッテリー再利用や、（実証実験中のため説明には無かったが）良質な花崗岩産地の石都・岡崎を連想させる岩石蓄熱発電など、新たな技術導入も視野に入れつつ既存資源を最大限活用する取組みは興味深い。本市で進めている「もったいない運動～脱炭素バージョン～」を広げていく機会の創出が必要ではないか。石の産地であり、自動車メーカー拠点施設が存在するなど宇都宮とさまざまな共通点が多く、それらを脱炭素施策へ柔軟に取り入れている点や、何より自治会の加入率が高いことから施策を推し進めやすいことを職員さんが胸を張ってご説明されていたことも印象的だった。

岡崎市庁舎1階、とにかく家康推しがすごい。職員さんが家康のパネルに囲まれて仕事しておりました。宇都宮は、どうする

この度の脱炭素社会調査特別委員会メンバーです。

【兵庫県尼崎市】阪神大物地域ゼロカーボンベースボールパーク整備計画～地域課題解決型！官民連携事業～（https://www.city.amagasaki.hyogo.jp/kurashi/kankyo/hozen/1030389/1030390.html：2024.2.2確認）

　阪神グループと連携した公園スペース・未利用地活用のベースボールパーク整備で施設誘致を達成し、駅舎への太陽光・蓄電池の設置も図りながら脱炭素+地域経済力向上の双方にメリットとなるウィンウィンの取り組みを進めている。また電子地域通貨「あま咲きコイン」ポイント事業を通じ、SDGｓ達成や経済活性化も含めた市民の省エネ行動を促すメニューが多彩である。先行地域の交付金活用や諸事情（原発再稼働）も相まって、低コストで最大限の効果をスピード感持って発揮されている様子が見て取れた。こちらもただ脱炭素を進めるだけでなく、地域経済活性化や未利用地の活用にも繋げていることから、来年のパーク開業に向け本格化する脱炭素CO2排出削減量の変化と同時に、経済効果に注視したい。

市内各所に給水スポットを設置しており、オリジナルの尼崎タンブラーも販売（1個500円）。脱ペットボトルの取り組みも進めています。職員さん拍手総出でこちらが恐縮してしまうくらい異常な（？）お出迎え頂いちゃったら、買うしかない（委員メンバー全員購入！）。なんだか職員さんの商人気質が爆発しておりました。

【大阪府堺市】堺エネルギー地産地消プロジェクト（https://www.kansai.meti.go.jp/3-9enetai/energypolicy/details/save_ene/05_R4symposium.pdf：2024.2.2確認）

　堺市も尼崎市と同様、堺エコライフポイント事業を展開しており、市民の脱炭素行動変容を促す具体的な取り組みが分かりやすく示されている。また、大規模開発団地の泉北ニュータウンにおける公営賃貸住宅更新に合わせ、大阪府と連携した次世代ZEH+、太陽光、蓄電池等導入が売却条件となった住宅購入促進を図るゼロエネルギータウン開発に取り組んでいる。全国的に進む高齢化や住宅の老朽化、若者の地区外転出等同じような課題を抱えるオールドニュータウンのロールモデルとなれるか非常に興味深い取り組みである。条件の内容からも強気な施策の印象を受けたため、（結構大変だったという）大阪府との協議で各目標値や費用対効果をどのようにはじき出し説得したのか、再度調査し宇都宮にも生かせる点があれば提案して参りたい。

最後に、今回の一人当たり旅費のご報告。

長々と視察のご報告をさせて頂きました。3日間の調査で得た内容を宇都宮の脱炭素にどのように生かせるのか。再度委員会の中で調査・協議を進めて参りたいと思います。ここまで読んでくれたあなた様に、良い事が起こりますように！（完）

アナザーインスペクション ～もう一つの視察～ ものちほどご報告。